防じん試験は断念し、防水試験のみ実施
イミュニティのA60とG50はJIS C0920:2003でIPX5の防水試験を行ったわけですが、前の記事の中の余談で書いたように、当初は同時に防じん試験も受けて「IP65」に適合させる計画でした。防じん試験では、LEDフィラメント電球に粉塵が入ったかどうかを判定するにあたり、電球に穴を開けて真空ポンプで粉塵を吸引します。そのために穴を開けた電球に真空ポンプのホースに接続された継手(ニップル)を固定させる必要がありました。しかし電球のガラスに穴を開けて固定しすることが非常に困難であることから、残念ながら防じん試験は断念しました。したがって弊社の電球は防水試験のみ実施をいたしました。
疑問
防じん試験を断念した時に思ったことは、「IP〇〇」表記して販売されているLED電球はどのようにして防塵試験を行ったのであろうか?という疑問でした。
ネットなどで検索すると分かりますが「防水防塵IP65」などと表示してLED電球が販売されています(IP65の場合は前の数字が防塵保護等級、後ろの数字が防水保護等級)。同じように我々もそうしたかったわけですが、しかし上で説明した理由で防じん試験を行うことができませんでした。
ただしLED電球でも写真のような看板灯や投光器として使用されるような屋外用大型LED電球がありますが、これらは頑丈な造りで厚い部材で作られているので、電球カバー部や金属ボディに試験用の穴をあけて真空ポンプのホースを継手(ニップル)を介して接続固定し、減圧吸引するというようなことは、かなり手間ではありますが可能なのかもしれません。
しかし家庭などで広く普及する一般的サイズのコンパクトなLED電球で、LED基板のある電球カバー部(薄いプラスチック)や電源基板収納箇所のボディー部に穴を開けて試験検証することが可能なのだろうか?或はJISC0920ではなく別規格JISC8105-1(IEC60598-1)なら検証可能な防じん試験ができるのだろうか?どちらの規格でもLED電球単体での防じん試験は、現実的には困難ではないかと思うのだがどうなのだろう?どなたかご存じであればぜひ教えて頂きたいです。
もし、これがJIS規格の試験をせずに「IP〇〇」と表示をしているなら、不当表示で景品表示法違反となる可能性が出てくるのではないだろうか。
(一部の)LED電球のIP表示は本当に試験を行ったのだろうか?と、今回の防じん試験を断念するに当たって疑問をもったような次第です。
※日本の販売会社が、日本でJIS試験を受けていないが海外製造メーカーがIP試験を受けて適合させた、と言うケースがあります。この場合は海外製造メーカーがIEC国際規格に準じた試験を行なって適合させたということを意味するわけですが、しかし海外製造メーカーの言うことは鵜呑みにできないので注意を払うべきです。もしそれが誤っていた場合はそれを輸入し販売した会社が法令違反に問われる可能性が高いからです。IP規格に限らず対象の規格に準じた試験が適切に行われたどうかは、適合書とそれとセットになった試験レポート(どちらも英語で書かれている)を見て詳細にチェックして判断する必要があります。製品を輸入し販売する会社に関連知識が不十分な場合は、そのチェックが甘くなるもしくはチェックが全く行われないケースがあるので、不適合品が販売されてしまう可能性がでてきます。規格適合に関しては法令違反にならないよう慎重に取り組む必要がありますが、特にPSE(電安法)適合についてはさらに細心の注意を払う必要があります。
弊社は今年の夏に、LEDフィラメント電球<イミュニティ>のA60とG50において、一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)にて、JISの防水防じん規格「JIS C0920:2003電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」の保護等級IPX5の試験を受けて適合判定を得ており試験報告書が発行されています。この試験の詳細はこちらのブログ記事でご覧いただけます。☞イミュニティA60&G50、JIS防水保護等級IPX5適合試験結果
ご質問があれば、電話やメールにてご連絡ください。製品への理解をさらに深めて頂けるものと思っております。